原価管理指導
原価管理の目的は、単に原価を把握することにあるのではなく、目標と現実との差異分析によって、原価能率を改善することにあります。しかし、原価管理の多くは、原価の構成要素を詳細に把握するのみで、差異分析による改善にまで役立てられていません。ここでいう原価管理は、原価計算の体制の構築、原価の管理、予算の作成、予算実績の管理を含みます。
原価管理をおこなうのはいくつかの目的があります。
1. 財務諸表作成
製品1個当たりの原価を集計しておかないと、損益計算書の当期の販売数量(売上)にかかる売上原価(製品原価)がわかりません。また、貸借対照表の仕掛在庫金額と製品在庫金額がわかりません。正しく、決算書を作るためには、原価計算は不可欠です。
2. 価格(売値、販売価格)の決定
製品1個の売上原価をもとに、適正な利益を乗せた売値(販売価格)を決定します。
3. 原価管理
目標原価(標準原価)を設定し、実際原価との実績を比較することにより製造の効率を高め、原価低減をおこなうことができます。
4. 予算を作成・管理
向こう1年の販売計画や利益計画を計算する場合、製品別の原価がわかっていれば、1年先の売上計画、利益計画を簡単に作ることができます。また、部門別の予算も立てることができます。
5. 経営の意思決定
1年先の短期計画だけではなく、3年先、5年先などの中長期の設備計画や新製品計画を立てる際に原価計算の知識を利用して正確な予測に役立てることができます。